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微積が受験物理で役に立つ分野

高校で習う微積がどこで役に立つかをまとめました。参考にしてください。

問題を解くときに微積が役に立つ分野

  • 単振動
    位置・速度・加速度・時間を求める
    二体問題(ばねの両端におもりをつけて振動させる)を解く

  • 交流回路
    抵抗・コイル・コンデンサーの定義を知っていればリアクタンス・位相差などを覚える必要がなくなる
    (詳しくは、微積を使う交流回路を見てください)
これらの分野では、微積を使うことで解法パターンで解くときよりも、明確に物理量を求めることができます。
たとえば、単振動:mx" = -k x の一般解がx = a sinωt + b cosωtとなることを知っていれば、初期条件を与えることで、任意の時刻の位置、速度、加速度を求めることができます。
解法パターンで解く場合は、力学的エネルギー保存則を使うので、任意の時刻での位置、速度を求めることはできません。

微積を使えば解法パターンを覚えなくても、数学的な操作で必要な物理量を一般的に求めることができます。
意欲がある人は微積を使って解く方法を研究することをおすすめします。


物理量を定義する、公式を導くときに微積が役立つ分野

  • 力学全般
    位置・速度・加速度の定義と計算
    運動方程式の定義と計算
    仕事の原理を導く、エネルギー保存則を導く
    運動量の原理を導く

  • 熱力学全般
    熱力学第1法則(エネルギー保存則)の計算
    →仕事を求める、ポアソンの公式を導く

  • 電気回路
    電流、回路素子の電圧、エネルギーの定義
    回路のエネルギー保存則を導く
    電磁誘導による誘導起電力を求める
以上が物理量や公式を理解するのに高校で習う微積が役立つ分野です。

これらは微積を使ったからといって簡単に問題が解けるようになるわけではありません。
たとえば、等加速運動の問題を解くときに微積を使った場合のメリットは、高校教科書で与えられている等加速運動の公式を覚えていなくても導けることであって、運動方程式を立てる段階で力を正確に図示できていなかったら問題は解けません。

しかし、微積を使うことにより高校物理ではあいまいになっている物理量の意味や公式と公式のつながりをキチンと理解することができます。また、状況設定が複雑なときに正しく法則(たとえば、エネルギー保存則)を立てることができるメリットがあります。


微分積分を使わないと解けない入試問題は存在するか?

受験物理に微分積分は必要か?で書いたように、高校の教科書では微分積分を使っていることをはっきりと書いていません。

そのため、入試問題は微分積分を使わなくても必ず解けるようになっているので、「微積を使わないと解けない問題があるのでは」という理由で微積を使う必要はありません。


<注>
一部の大学ではごくまれに、上に書いた物理量、法則が微積を使って定義され導かれていることを知っておかないと解けない問題が出題されることがあります。

たとえば、微積を使わないで問題を解くためには、⊿tが非常に短い時間であるとき、⊿sin(ωt) = ω cos(ωt) ・⊿tという近似式を与える必要がある問題で、この近似式が与えられていない問題が出題されたことがあるそうです。
教科書の範囲内で出題するという建前からしたら出題ミスの気がしますが・・・。
これぐらいは数3をやった理系なら分かっとけってことなんでしょうね。


このような問題に対応するには、⊿を使って定義される物理量、法則は微分・積分につながっていることを知っておく必要があります。
詳しくは、物理のための微積を参考にして下さい(ここに書かれていることを知っていれば充分です)。

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投稿者 猫背の狸 、更新日 2006年12月30日