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物理のための三角関数

物理で必要になる三角関数関係の公式をまとめました。
ここに出てくる公式、公式の導き方はすぐに使えるようにしましょう。
この程度は押さえていないと、参考書を読むのも大変だと思います。


●三角比の定義と定理

[図1]のような角度θ[°]をとる直角三角形において、

sinθ= a/c
cosθ= b/c
tanθ= a/b

と定義する。

三角比の定義
[図1] 三角比の定義


また、定義から次の二つの定理が成り立つ。

tanθ= sinθ/cosθ
(証明)
tanθ=a/b
=(a/c)/(b/c) ←分母分子をcで割った
=sinθ/cosθ←sin,cosの定義を代入した

sin2θ+cos2θ=1
(証明)
sin2θ+cos2θ
=(a/c)2+(b/c)2=(a2+b2)/c2
ここで、三平方の定理より、
a2+b2=c2が成立するので、
sin2θ+cos2θ=1


●余弦定理

[図2]のような三角形において、

a2=b2+c2-2bc cosθ
が成立する。

余弦定理

[図2] 余弦定理


●三角関数の定義と定理

[図3]のように半径1の円で(1,0)から逆時計回りに弧長θ[rad]をとったとき、
その円上の点のy座標をsinθ、x座標をcosθと定義
する。

sinθ=y
cosθ=x

また、原点と点(x.y)を通る直線の傾きをtanθと定義する。

tanθ= y/x

三角関数の定義
[図3] 三角関数の定義
<三角関数を導入した理由>
三角比ではθは度(長さではない単位)を、三角関数ではθは弧長(長さ)を基準とした定義です。 物理ではθが変化する、つまりθを変数とする関数が必要になる場合が出てきます。 しかし、関数は長さを持つものでないと変数として使いにくいので、三角比を三角関数に拡張する必要があります。


<弧度法の定義>
[図4]において、弧長=半径×θ[rad](←弧度法の定義)なので、半径1の単位円では弧長=θ[rad]となります。
θ[rad]は、π[rad]=180[°]の対応関係が成り立つことから、θ[rad]/π[rad]=θ[°]/180[°]が成り立つことを使って求めています。

弧度法の定義
[図4] 弧度法の定義


<円のパラメータ表示>
三角関数の定義を、半径rの円に拡張すれば、
(x、y)=(r cosθ、r sinθ)
となります。
円のパラメータ表示は三角関数の定義を拡張したものなので、x座標sinをy座標cosとすることはできません。


また、定義から次の二つの定理が成り立つ。

tanθ= sinθ/cosθ
(証明)
tanθ=y/x←(0,0)と(x.y)を通る直線の傾き
=sinθ/cosθ←sin,cosの定義を代入した

sin2θ+cos2θ=1
(証明)
sin2θ+cos2θ
=x2+y2
ここで、(x,y)は半径1の単位円上の点なので、
x2+y2=1が成立する。
よって、
sin2θ+cos2θ=1


また、単位円を使えば、

sin(-θ)=-sinθ
cos(-θ)=cosθ
tan(-θ)=-tanθ

sin(π/2-θ)=cosθ
cos(π/2-θ)=sinθ

を得る。

これらの式は、単位円を使って左辺の値は+sinθ、-sinθ、+cosθ、-cosθのいずれに等しいかを考えれば求めることができる。

また、tanについては、tan=sin/cosから求めることができる。


●加法定理

sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ
cos(α+β)=cosαcosβ-sinαsinβ

また、tan(α+β)=sin(α+β)/cos(α+β)より、
tan(α+β)=(tanα+tanβ)/(1-tanαtanβ)
(証明)
tan(α+β)=sin(α+β)/cos(α+β)
=(sinαcosβ+cosαsinβ)/(cosαcosβ-sinαsinβ)
=((sinα/cosα)+(sinβ/cosβ))/(1-(sinαsinβ)/(cosαcosβ))←分母分子をcosαcosβで割った(tanが出てくる形にしたいから)
ここで、tan=sin/cosを使えば、
tan(α+β)=(tanα+tanβ)/(1-tanαtanβ)となる。

また、
β=-βとすれば、
sin(α-β),cos(α-β),tan(α-β)を得る。

α=βとすれば、
二倍角の公式、半角の公式を得る。

A=α+β、B=α-β⇒α=(A+B)/2、β=(A-B)/2とすれば、
和・差の変形公式を得る。


●合成公式

a sinθ + b cosθ =√(a2+b2) sin(θ+φ) (tanφ=b/a)
ただし、φは[図5]を満たすφである。

合成公式
[図5] 合成公式

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投稿者 猫背の狸 、更新日 2006年12月30日