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電場・電位の概念(初心者用)

目次


目標


電場E・電位Vの意味を一様な重力場と比較して説明します。
初心者向けのかなり荒っぽい解説ですが、電場E、電位Vがさっぱり分からない人には理解のヒントになると思います。

場と場の力

ある空間にいるだけで物体に必ず働く力を場の力といいます。 そのような空間は場とよばれます。 たとえば、私たちのいる地球表面では重力(=質量m×重力加速度g)がすべての物体に必ず働きます。 だから重力は場の力といえます。そして重力の働く空間である地球は重力場と呼ばれています。

場の力が生まれるのには原因があります。
地球表面の重力場の場合、地球が質量を持っていることによります。

場について興味がある人は、「近接作用」という言葉を調べてみましょう。


電場と電場から受ける力


電気が帯びている周りには電場が発生します。
つまり、電気量q(物体がどれだけ電気を帯びているかを表す物理量)
を持っていることが電場の原因になっているわけです。

ではこのとき電場から受ける力はどのように表されるのかを考えて見ましょう。

まず、地球表面の重力場から受ける力を表す式を考えます。
ご存知のとおり、
重力場から受ける力=物体の質量m×重力加速度g
と表されます。

これを場という考え方で見て意味づけすると、
・質量mは、重力場が生じた原因の質量に対応している物理量
・重力加速度gは、どんな質量の物体でも共通なものなので、重力場の状態を表している値
と考えることができます。


これらを一般的にまとめると、
場から受ける力
 =場が生じた原因に対応している物理量×場の状態を表す物理量 (*)
とみなすことができます。

このことをふまえて、電場を重力場の類推でとらえてみましょう。

まず、質量mに対応するものは電気量qです。
重力場の原因は質量であり、電場の原因は電気が帯びていることだからです。
よって、次の対応関係が成り立ちます。
 質量m ⇔ 電気量 q

重力場において場の状態を表す物理量は重力加速度gです。
ここで、電場において場の状態を表す物理量を電場Eと定義します。
そうすると、次の対応関係が成り立ちます。
 重力場の状態g ⇔ 電場 E

以上より、(*)をふまえて、
電場から受ける力F=電気量q×電場E
と電場から受ける力が表されると類推できます。


電場Eの定義


電場Eの値はどうやって定義し、その物理量を求めることができるのでしょうか。
重力場と対応させて考えていきます。

重力場において、+1Kgの物体に注目すると、F=mgより、
 F=+1×g ⇔ Fg
つまり、
(+1Kgの物体が受ける力の大きさと向き)=(重力加速度の大きさと向き)
となり、重力場の状態を表す重力加速度を求めることができます。


同様にして、 電場において、+1Cを帯びている物体に注目すると、F=qEより、
 F=+1×E ⇔ FE
つまり、
(+1Cの受ける力の大きさと向き)=(電場の大きさと向き)
となり、電場を定義し、求めることができるようになります。

地球表面の重力加速度gと違い、電場Eは一般に場所によって違う値をとるので、
定義を使って求めなくてはいけません。


電場の位置エネルギーと電位Vの定義


重力場において、物体は重力場による位置エネルギーをもちます。
同様に、電場においても物体は電場による位置エネルギーをもちます。

地球表面の重力場と対応させて考えると、次のように電場の位置エネルギーを考えることができます。
重力場による位置エネルギーU⇔ mgh=質量m×g×位置
電場による位置エネルギーU ⇔ 電気量q×E×位置(☆)
(∵質量m ⇔ 電気量 q 、重力場の状態の大きさg ⇔ 電場の大きさE)

一般に、電場の大きさEは位置により変わるので、
電場の大きさEと位置をいっしょに考える(基準量とする)ことにします。

このときの基準量を電位V(つまり、E×位置=電位V )とすると、
電場による位置エネルギーU=電気量q×電位V となります。

電位Vの定義は、電場の定義のやり方と同じように+1Cを帯びている物体に注目すると、
 U=+1×V ⇔ U=V
となることより、
(+1C の持つ電場によるエネルギー)=(電位Vの大きさ)と表されます。


まとめ


  • ある空間にいるだけで物体に必ず働く力を場の力という
  • 電場の概念は地球表面の重力場による力:F=mgと対応させると分かりやすい
  • 電場による位置エネルギー、電位の概念は地球表面の重力場の位置エネルギー:U=mghと対応させると分かりやすい

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投稿者 猫背の狸 、更新日 2006年12月30日