この映画でフューチャーされているのは、主に「ターンテーブリズム」を担うDJ達であって、いわゆるクラブDJではない。それは、期せずして「DJは脇役ではない」ことを強調しているようにも見える。
ところで、内容は「偉大な」DJたち、もしくはターンテーブリズムを支える人達のインタビューによって、歴史やキーになる要素をどんどん展開していく造り。そこには普段は知ることの出来ない彼らの美学・信念が散りばめられている。その上秀逸なのが映像。別段特殊な効果が施されているわけではない。しかし、ールド・スクール時代の映像も交えながらDJ達を追うそのカメラ・レンズは、ワクワクさせるような、なんともいえない雰囲気を画面の外にまで溢れさせ、バックで流れるクラシック的楽曲も然り、ターンテーブリズムに対する自信や尊敬が満ち満ちている。まくし立てるように進んでいく展開はまさにめまぐるしく動くDJの世界そのものだ。
もちろんこれでヒップホップDJの全てが分かるとは到底言えない。それにこの映画の主題は、芸術としてのターンテーブリズムに偏りすぎているとも言えなくもない。だが、これを観てしまうと、ターンテーブリズムが芸術の域まで上りつめたということは、誰の目にも明らかになるだろう。